インターン・シップ
なんだか…走り去るタクシーが社長に思えた。
――――…私の何を知ってて好きだなんて言えんのよ。何も知らないくせに…。
…あぁ、そうか。
知らないから言えんのか。
知ったら…あの運転手みたいな目をして、タクシーみたいに去ってくくせに…。
そんな日がきたら、私はこうやって呆然と突っ立って遠ざかる背中を見送らなきゃならないんだろうな。
「行かないで」…なんて言えるわけないし、泣くことも、怒ることもできない。
それなら最初から望まない方がいい。“大切”な人なんて、いない方がいい。
1人ぼっちの方が……いい。