私に恋を教えてくれてありがとう【上】
「申し訳ありません。婦長・・・


 私・・・・・・」






婦長は指を唇にあて、そらに しっ と黙るよう指示した。


牧田が目を開けてそらを虚ろな瞳で見ていた。




「・・・・・やっ・・と


   あえ・・・た」






婦長は牧田の手を布団にやさしく置いた。





「あと、頼んでいいわね?

 ちゃんと話を聞くのよ?




 老人扱いしてはだめよ

 何かあったらすぐにナースコールしなさい

 それと、きちんと辛くならないように仮眠をとること

 他の仕事はしなくていいから」


そらに耳うちして、婦長は病室を出た。





「・・はい、婦長」






そらは責任の重さを感じていた。




自分一人で思い込みをしたのだ。




他の看護師に言っていれば、不穏な行動を

とる危険があると判断してもらえただろう。






今日、呼び出されて当たり前だ。





私が処理することだ。





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