私に恋を教えてくれてありがとう【上】
婦人はコートを脱ぎながら窓きわの

ボンボンベットの上に腰かけ、コートを雑に放り投げた。



牧田は夫人がいるのにお構いなしに、

またそらの手を握った。



そらは手に汗をにぎった。



振り払うのは不自然だと思ったので、

とりあえず、放して下さいね、という雰囲気を出した。


すると夫人が



「手、


  握ってやっててくれます?」




とそらにぶっきらぼうに頼んだ。





「あ・・・・あ、はい。

 でも!!奥さんの方が・・・・」





夫人の目つきが変わった。




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