私に恋を教えてくれてありがとう【上】
 
「こんなことを聞くってことは

 あなた、何も聞かされていないのね」




「・・・・はい

 まだ、何も・・・・・」





「そう・・・・

 よく自分の母親のことだってわかったわね


 

・・・と言いたいところだけど、

 多いようでなかなかいないのよね

 

 “はなこ”って。



  それに、本当にそっくりだものね、

 主人に笑いかけた笑顔でピンときたわ

 自分でもそう思っているんでしょうね」




夫人は目を細めてそらのいたるところを眺めた。



「今朝は後ろで髪をまとめていたわね。

 でもそうやって耳に掛けているだけの

 スタイル。

 


 ・・・・・・・私の知っているあの女だわ」



夫人は華子とそらを重ねすぎたようで、

もう、あまりそらを見ようとはしなかった。




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