私に恋を教えてくれてありがとう【上】
そらには、その言葉の続きが聞かなくとも分かっていたので、夫人とは目を合わさずに細かくうなずいた。


「そして、


 “その女”は誰か・・・・・・

  すぐにわかったわ。



 この人は顔と態度に出やすいからね」





顎で“この人”を指した。



「診察のときもでれでれ

 でれでれ。

 


 その女がくると態度が豹変するんですって。

 



 私も、その女をおがみたくなって

 飲み会のときの写真を見せてもらったのよ

 



 ・・・そしたらまぁ・・・・」




また、思い出したかのように

ぱっと夫人の目だけがそらを見ていた。



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