私に恋を教えてくれてありがとう【上】
そらは彼の言葉にびっくりして、


両手で口を塞いだ。



そういうことか・・・・!





「もしかして・・・・・・・


 昨日の膀胱炎かもって言って出した・・・

 あれで?」



一瞬気持ちにもやがかかったが、また母が

おめでとう!おめでとう!と抱きついてきた。





・・・確かに下腹部痛、眩暈もした

 風邪症状もあった、酷い眠気・・・・




淳一郎が泣いた訳がわかった。

どんなに心配をかけたか・・・




「そら、・・・ありがとう」
 



淳一郎が言った。


母とそらは同時にすすりあげ、

それが異常に可笑しくて三人で笑った。



嗚呼。








命を授かるということは

何て素晴らしいんだろう。


まだ出ていないお腹を不思議そうに優しく見つめ

ガラス細工みたいに大事に大事に

手のひらを当てた。



こうすれば

自分の気持ちが伝わる様な気がした。


幸せだ。



愛する人との繋がりを

今までより一層この子が教えてくれる。
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