私に恋を教えてくれてありがとう【上】
淳一郎はこの同じ顔に見つめられるのを

贅沢に思いながら、

おもむろに白衣のポケットから紙きれを出し、

華子へとそれを手渡した。



華子はこわごわと薄目でその紙覗いた。



ゴトっと荷物を落とし


目を丸くして、息を飲んだ声が、


けたたましく聞こえた。




そらは自分になにが起こったのか、


一気に恐怖に襲われた。




「な、なんなの!?」




淳一郎は頬を紅潮させていた。





「そらちゃん!!!!!!!!!!!」





母 華子が




餌を見つけた鷹の如く飛びついてきた。

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