私に恋を教えてくれてありがとう【上】
「えー……お父さんはサッカー部でね、
大会があると選手は学校を休んで
試合に行ってたんだ。」
「じゃぁさぁ、勉強大変だったんじゃないの?」
そらが味噌汁片手に聞いた。
「祐樹さんはそこで動じるほど
頭よくなかったから大丈夫なの」
華子がニヤついてそらにいった。
祐樹はビールをぐっと飲んだ。
「そら、そう。
そのとおり大変だったんだよ。」
あまりに素直な肯定だったため
父が怒ったのでは、と、
そらはちょっとどぎまぎした。
「・・・・・・・・・・・・・そう
だったんだぁ~!
へぇ~」
まるで教育番組のお姉さんのような相槌をした。
そして、父はご飯をおおかた噛み終わってから続けた。
「普通は・・“試合がんばって”
“授業結構すすんだよ”
そんなかんじだろ?」
「う・・・うん。そうだねぇ。」
「でも、母さん。華子はちがうんだよ」