私に恋を教えてくれてありがとう【上】
やはり一人では大変だろうと思ったのと

華子が少し焦っていたように見えたのが気にかかり


「やっぱり手伝ってくるね」

と言い、階段をゆっくり上った。



ドアはきちんと閉められていたが

なにせかなり古い家だ。

この部屋のドアはノブを回さなくとも

開いてしまうのだ。





いつもはそのせいで、バツの悪いところを見られたりしたが

今日に限ってはありがたかった。





気がつかれないようにそっとドアを開けて

覗いてみた。






華子は 先ほどそらが手をのばした

ベニヤ板の上から何かを取り出しているようだった。





横20センチ位の箱らしき物で、頑丈にガムテープで巻かれていた。







「お母さん?」



そらがそう言うと 華子は息を呑み、目が飛び出しそうになっていた。
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