私に恋を教えてくれてありがとう【上】
“ブラック無糖”
そらは 確認して、よし!と彼を見てほほ笑んだ。
「大丈夫。
“ぼく”を誰だと思ってるんですかね?
君が砂糖入りを好まないの位
存じ上げておりますが」
「誰って……“今井ドクター”?」
淳一郎は肩をすくめた。
「ちがうでしょ
君の“旦那”ですよ」
そうか!という顔をしたそらは
へへへっとやわらかく幸せそうに笑った。
「何でここに?」
「ああ……外来の場所を借りて
ムンテラしていたんですが
なかなか終わらなくて
連絡できなかったんです
それで 今の時間ならまだぎりぎり
間に合うかと思って“これ”
買って待ち伏せしてました」
淳一郎がかけてもいないメガネをクイっとあげた。
もし帰ってしまっていたら自分で飲むつもりだったそうだ。
イスに座らない?とすすめられ
二人は腰をかけ、コーヒーをすすった。
「で、どうしたんですか?」
「?」
淳一郎が唐突に聞いた。