私に恋を教えてくれてありがとう【上】
祐樹は声を震わせた。
「『あんな箱』ってなんだ」
「あんな箱ってなんなんだよ!!!!!!」
もう人影はないが、猫がびくっとこちらに顔だけ向けて動かなくなった。
華子はこんな祐樹を見るのがはじめてだった。
いつも怒るとき、原因がどちらにあっても、
壁を思いきり殴ったり、
ため息ばかりつくのが祐樹のスタイルだった。
そんな彼がこんなに声を荒げるとは・・・・・・
華子は息が止まった。