運命のレール

成長

私は愛情をろくに注がれないまま成長した。
幼稚園にあがった。
お母さんはパートで頑張って生活費を稼いでいた。


こんな普通の生活をしている時、ある事は起きた。


幼稚園では1人で居ることが多かった私だが、ある1人の女の子とは家が近いこともあり、よく遊んでいた。
名前は那苗。
見た目はまるでお姫様。
いつもドレスのようなものを着て幼稚園に来ていた。

ある日、那苗はお母さんと仲良く幼稚園に来た。


『なな、おはよー』

いつもの那苗の声。
でも私には違く聞こえた。

『お母さんと一緒でいいでしょう?』

そんな風に耳に届いていた。


(パチンッ!)


私は自分でも分からないうちに那苗を平手打ちしていた。

えーんと泣き始める那苗を心配そうに庇う母。


(…むかつく…)


私の頭にはこの言葉がいっぱいで謝る事が出来ないまま家に帰っていった。
そう、1人で。


その時、私の心では確信に変わりつつあった。


愛されてない


そう。奈々は愛されてない、と。
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