WITH...ME
escape!!
パァンッ
「おっ」
massacreの開始と共にベッドから起き上がり、着る服もないので制服に着替えていると、寮の外から銃声が聞こえた。
「始まったみたいだね」
小女はまたもや俺のベッドに寝そべり、俺の着替えを眺めていた。
「そういえば委員長が、大人には銃が配布されるとかなんとか言ってたけど、ホントかな」
「見てみないと分からないけど、ホントみたいだよ……あ、ボタンズレてる」
小女に指摘されて、シャツのボタンを直し、上着を羽織る。
うん、よし。
準備万端、変身完了!
いつもは開けっ放しの上着の前を締めて、ネクタイを結ぶ。
「準備完了。どうする?」
「んー。考えてなかった」
「取り敢えず俺は腹が減ったんだけど」
「うん、じゃあ食堂行こっか」
ポケットに、メイドイン小女の携帯を突っ込み、片方の手で小女の手を引き、部屋を出た。
長い廊下が続く。
他の寮生はもういないようだった。
ドアに掛かる[寮長室]のプレートを外し、床に放り投げた。
「よし、行くか」
「うん!」
二人で、長い廊下を見据える。
「えへへ、なんかワクワクするね」
「馬鹿、これから殺されるんだぞ」
「でも葵、楽しそう」
小女に言われて、自分が笑っていることに気付いた。目に見えない何かと、精神を襲う高揚感。心臓が早々と脈を打つ。
「ばれたか」
「バレバレ」
小女が笑う、俺も笑う。
向かうは食堂。
まずは腹ごしらえだ。俺は小女の手を引き、小女は俺に手を引かれ、走りだした。