君を忘れない
「何よ。別に彼女なんだからいいじゃない。
てゆーか
誰だと思ったの?隣のオバチャン?
それとも遥子って女?
ずっと呼んでたわよ、アンタ。
「遥子、遥子。行かないでぇ~!」って。」
・・・遥子?
一瞬、聞いたことのない名前が
脳に飛び込んできた。
「はる、こ?誰だよそれ。」
「は?知らないわよ。
アンタが呼んでた人なんだから
アンタが知ってる人じゃないの?」
キョトンとした僕の顔に
律夏は釘を刺すように言った。
「どうでもいいけど
あんまもたもたしてると
遅刻するわよ?」
切りのつかなさそうな話だと思った律夏は
話にピリオドを打ち
時計を指差した。