希望の光
何を言っても諦めない村上君。
ずっと私の隣にいる。


「昨日転校して来たばっかりなのに、サボってていいの?」

「遥花が一緒に戻るまでここにおる。」


いいよなんて一言も言っていないのに、呼び捨てにされた事に驚いた。
ましてや、男の子に名前を呼ばれた事なんて一度もなかったから、少し照れくさい。


「多分一日中ここにいるよ?」

「それなら俺も一緒にいてる。」

「先生怒ってるかもしれないのに?」

「そんなん構わん。」


何故ここまで、一緒に居たがるのだろう。
私には理解が出来ない。


「…仕方ないなぁ。一緒に戻ってあげる。」


正直言うと、本当は戻り辛かっただけ。
一人で行く勇気もないし、会って間もない人に“一緒に行って”と言うのは気が引けた。

少なからず、村上君の行動に感謝している事は確かだ。
一人にされていたら、きっとまた逃げ出したに違いない。


「ほんまに戻るん?」

「どうして?」

「しんどくない?」

「えっ…」


村上君が言った言葉に驚いた。
何も言っていないのに、私が思っている事をさらっと言った。

彼は人の心が読めるの…?
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