希望の光
ぼーっとしていると、もう放課後。

吹奏楽部の楽器の音や、サッカー部の掛け声が学校に響いていた。


「帰らなきゃ…。」


たいして何も入っていない鞄を手にとり、教室を後にした。


「遥花!」


この声は…村上君だ。
さっきの事があったから、私は振り向かなかった。


「遥花ってば!」


勢いよく肩を掴まれた。
反射的に、ふりほどいてしまった。


「触らないで!」

「何で?」

「迷惑なんでしょ?だったら、もう話しかけないで!」

「さっきの事?」

「“たまたま会っただけ”とか言ってたでしょ。そんなに本当の事を言うのが嫌だったの?」

「傷付いたんならごめん。でも、あれは演技やから。迷惑なら今もこうして話したりせんで。」

「どうして演技なんか…」

「友達って言うたら、遥花がまたイジメられると思って…。」


シュンとなって謝る村上君に、少しだけ頬が緩んだ。


「私の為だったんだね。ありがとう。」

「ごめんな?」

「もういいよ。気にしてないから。」


さっきとはうって変わって、可愛らしい笑顔で笑った。

気付けなくてごめんね。
そして、ありがとう。
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