希望の光
「ただいま。」


リビングからお母さんが出てきた。
私が唯一好きだと思える人。
でも、学校での事は何一つ話していない。

普通なら今は授業中。
何も知らないお母さんは当然、不思議に思うだろう。


「あら、学校は?」

「……。」

「最近、早退が多いみたいだけど…何かあったの?」

「何もないよ。」


学校での事に触れて欲しくなくて、足早に部屋に入った。

今までにも何度か、お母さんに相談しようとした事はあった。
でも、いきなり“イジメられてる”なんて言ったらビックリするに違いない。
お母さんにまで、辛い思いをさせたくなかった。

かと言って、友達もいない私は一人で溜め込む事しか出来ない。
誰かに相談出来たら楽なのに…。


「もうこんな時間…。」


時計を見ると、1時を回っていた。
気分転換に公園にでも行ってみようかな。

思い立ったら即行動。
制服から楽な服装に着替えて、出かける準備をした。


「お母さん。ちょっと出かけて来る」

「あんまり遅くならないようにね。」


お母さんに出かける事を告げ、公園に向かった。

歩いて5分のところにある、小さな公園。
昔、よく遊んだ思い出の場所。

見渡してみると、いつもと違う事に気付いた。
ベンチに誰かが座ってる…。
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