氷の上のプリンセス

「うるせーよ。
お前らこそ、イチャイチャしてんじゃねーよ。」


「そうなんですよ!イチャイチャしたいんですけど、実莉ちゃんがつれなくって。
ねっ、実莉ちゃん♪」


真君の手が私の肩に乗り、思いっきりグイッと引き寄せられた。


『ちょっと、やめ……』

「離せよ。」


結城先輩の低い声が、私の言葉を遮った。


そんなに大きな声じゃないのに、周りが一瞬にして静まった。


「なんでですか?
俺、実莉ちゃん好きなんで一生懸命落とそうとアプローチしてるんですよ。」


『へっ!?』


私は、思わずすっとぼけた声を出し、真君を勢いよく見る。


チュッ


真君がいきなりほっぺにチューをしてきた。


「ざーんねん、口にするつもりがほっぺになっちゃった♪」

一気に、顔に血の気が引いて青くなる。


今…、何が起きたの?


外国人の知り合いがいるから、挨拶でよく頬にキスはするけど、ここは日本だし、相手は日本人だし、周りは見てるし…。


再びパニック状態になる私。


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