氷の上のプリンセス

目を見開いて、固まってしまう。


その時。


パリーンッ!


ガラスの割れる音がする。


えっ!?


目の前では、結城先輩が、真君の襟元につかみかかっていた。


先輩……?


ガラスは、さっきまで結城先輩が手にしていたグラスだということは想像できた。


真君も突然のことで、びっくりしたらしく、それに加えて先輩の凄みに圧倒されて、動けずにいた。


「……気分悪い。」


そう言ってつかみかかっていた結城先輩は、すぐに手を離して部屋から出て行ってしまった。


この空気………。


周りは案の定シーンとして、私たちは注目の的。


少し、いやかなり居づらい…。


先輩は、どうしちゃったの!?


この空気を断ち切ってくれたのは、結城先輩を取り巻いていた女の先輩だった。



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