氷の上のプリンセス
下を向いて、涙をこらえていると、


「先輩たち、なんで実莉ちゃんをせめるんだよ。
悪いの俺なんだから、やめてくださいよぉ。」


場を和ませようと真君が軽く笑いながら言う。


「真君がそう言うんなら…、ねぇ…。」

「う、うん…。」


あれ!?


意外にあっさり!?


「実莉ちゃんもごめんね。
宣戦布告するつもりが、変なことになっちゃって。」


真君が少し困った顔をして、片手でポリポリと頭をかく。


そういえばそうだ。

真君が変なこと言ったり、変なことしたりしたからこんなことに……。


でも、いかにもバツの悪そうにする姿を見たら、怒るに怒れなかった。


大変な騒ぎになった新入部員歓迎会は、最後には何事もなかったかのように終わった……らしい。


というのも、居づらくなった私は、体調が悪いと仮病を使って退席したから、最後まで居なかった。


池ちゃんに聞いたところによると、しばらく話題は私達の騒動で持ちきりだったらしいけど、
ビンゴ大会やその他のレクレーションで、いつの間にか話題はどこかに行っちゃったらしい。


池ちゃんには、個人的に問い詰められたけど…。



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