氷の上のプリンセス

ここに、鍵が隠してあるのは、部員がいつでも練習できるようにするためだって、お姉ちゃんが言ってた。


人一倍努力して、
人一倍練習をしていたお姉ちゃん。


あれからもう、3年も経ったんだ……。



そんなことを思い出しながら、手にした鍵をドアに差し入れ、少し力を入れて回すと、ガチャンと重厚感のある音がした。

中に入り、真っ暗闇の中慣れた手つきで電気をつける。


奥に進み、銀色の大きなドアを開け、再び、照明をつける。



目の前に広がったのは、キラキラとした氷のリンク。


ヒヤッとした空気が、春とは思えない肌寒さを感じさせる。


手前にある手すりに手をかけ、リンクに近づく。



懐かしいな…。


よく、この手すりからお姉ちゃん達を見ていた。



その場にたたずんだまま、リンクを見つめていた。


何もない、きれいな銀盤を、ただ、悲しみをかみしめて…。





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