氷の上のプリンセス

先生が抱えてきてくれた…とは思えない。


保健の先生は、小柄で細身の体系。


人を担ぐなんて想像できない。


じゃあどうやって?

モンモンと考えていたら、カーテンが開いた。

「今、タクシー呼んだから。
15分ぐらいかかるみたいだから、飯田さん、有坂さんの荷物取ってきてあげて」

「はい!」


「申し訳ないんだけど、先生午後から出張しなきゃいけなくって、後大丈夫かしら?」


『はい。いろいろありがとうございました。
あっ、あの…。
私、どうやってここまで来たんですか?』



「あっ、それはね……。」


――コンコン


保健室の戸を叩く音がして、先生は後ろを向いた。


「あら、ちょうど良かった。
後は本人から話してもらえばいいわね。
ごめんなさい、ちょっと時間がなくって。
あとよろしくね。」

相当急いでいるらしく、先生はそそくさと出て行ってしまった。


カーテンが中途半端にしまっていて、誰が入ってきたのかわらない。


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