氷の上のプリンセス

きなこも不思議に思ったらしく、カーテンからそっと向こうを覗く。


すると、きなこはこちらに向き直り、顔真っ赤にし、
私の耳元まで急速に近づいて手足をジタバタしながら小声で叫んだ。


「キャー!!ヤバいって!!
王子だよ!!
超カッコイイ!!」


『何言ってるの……。』


まだ顔を拝見することのできない私は、ところどころ痛む体を庇いながら起き上がった。


すると、遠慮がちな低く優しい声が聞こえてきた。


「入ってもいいか?」


『あっはい!!』


声の主は、ゆっくりとカーテンを開いて顔を出した。


『結城先輩……。』

「大丈夫か?。」


『は、はい…。』


「……。」


『……。』


なんか、何話せばいいかわかんない。


目も合わせず、下を向いてしまう。


「……邪魔したか?」


『いえ……、』

「いえいえっ!!
私今から実莉のカバン取りに行かなきゃなんで、行きますね。
ごゆっくり!」


ごゆっくりって…きなこ…。





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