氷の上のプリンセス

『…自分でも、どうしたらいいかわからないんです……。
言って、先輩に迷惑をかけたくない。』

「迷惑なんて思わない。
俺が勝手にできるだけお前の力になりたいと思ってるだけだ。
本当は、誰かに突き落とされたんだろ?」


『………………はい。
で、でもわかんないです!
ぶつかっただけかもしれないし。』


「もしかしたら、もっと大怪我してたかもしれないんだぞ!
俺がたまたま遅刻して、あそこを通らなきゃ、そのまま倒れたままだったんだ。
どっちにしたって、落ちたお前を放って行ったんだから責任がないはずがない。」


『そうですけど……。』


「犯人がわかるまで、あんまり一人で行動するな。
とりあえず、お前はしばらく足が治るまで部活は休め。
俺が伝えておくから。」


部活を!?


でも、さっき足を動かした時相当痛かったから、こんなんじゃ仕事にならない…。


仕方なく私は、『はい…』と力なく返事をした。




私を押したのは誰なんだろう?


見えない相手が、その後、私をもっと苦しめることになるなんて、この時はわだわからなかった…。




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