氷の上のプリンセス

「おいっ」


背後から、急に声がして、肩がビクッとなる。


私は、慌てて後ろを振り返った。


そこには、黒いニット帽をかぶった、背の高い男の人が、無表情でこっちを見てる。


ニット帽に少し隠れてはいるが、モデルじゃないかってぐらい、すごく綺麗な顔立ちだってすぐに分かった。


「お前……、誰だ?」


綺麗な男の人は、低い声でいかにも不審者だっていいたげな態度で問いかけた。


『無断で入ってすみません。つい、懐かしくて…。』



「懐かしい?お前、誰かの関係者か?」


『あの……。
私、有坂実莉と言います。昔、ここに、よく練習見に来てて…、あの…。』


うまく、しゃべれない(泣)


急に呼びかけられたせいなのか、目の前に、綺麗な男の人がいるせいなのか。


軽く、頭の中はパニック状態!!



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