氷の上のプリンセス
寮までの道のりは……
早かった。


っていうのも、
風が強くて横殴りの雨が降ってて、先輩と走りながら帰ったから。


私の寮の方が近かったので、先に寄ってもらった。


私の部屋は、一番端の一階なので、正面入り口ではなく、棟の反対に入り口がある。


その前の軒下に、2人で一息つく。


「お前、外からすぐの部屋なんだな。
こういう時うらやましいよ。」


『はいっ、こんな大雨の時はかなり助かります!
あのっ、傘入れてもらって、ありがとうございましたっ。
先輩っ、だいぶ濡れちゃいましたね!
ごめんなさいっ!!』


走ったせいで、少し息があがってしまっていた。


「ははっ。
実莉の方がずぶ濡れになってる。
風邪ひくなよ!」


『先輩っ!!ちょっと待ってください!
タオル持ってたんで、被ってってください。』


その場を去ろうとした先輩を引き止めて、急いでバッグをあさる。








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