氷の上のプリンセス

「ごめんな…。」


先輩がつぶやいた。


『結城先輩、謝らないでください。
まだ…あの時のこと思い出すと不安定になっちゃうんですが、こうやって、抱きしめてもらうと落ち着くって言うか、癒やされるっていうか…。
気持ちいいんです!』


はっ!!私、何言ってるんだろ!?


言った自分に恥ずかしくなって、顔がカァーと赤くなる。


恥ずかしくなって、先輩に顔を見られたくなくて、先輩の胸に顔を埋めた。


「実莉?」


『今の忘れてください!私、変なこと言っちゃって……。』


先輩が、抱きしめていたその腕を外し、私の腕を掴んでを引き剥がした。


私は、恥ずかしさのあまり、顔を上げられずにうつむいている。


「俺が抱きしめたら、少しでもつらくなくなるか?」


『……は…い。』


「なら、いくらでも抱きしめてやる。
……顔、上げろよ。」


『……恥ずかし過ぎて無理です。』


「お前の顔が見たい。」







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