氷の上のプリンセス

――『じゃあ、もう切るからね!!
アレックスの荷物お願いね!』


お母さんの返事を待たずに一方的に電話を切った。



ふと先輩を見ると、私の方をジッと見つめていた。


恥ずかしくなって、私は下を向いてしまう。



「…あのさ、明日って、お前の誕生日?」


先輩はカレンダーを見ながら、私に聞いてきた。


『はい。毎年、両親と一緒だったんですけど、今年は友達と遊びに行くことになってるんです。
なんか、部活休んでるのに、あんまり良くないですよね…。』


「いや、今オフシーズンで部活も週3で忙しくないから、別にいいんじゃないか?」


『でも、先輩はプログラム構成して忙しいんじゃ…。
私も参加したいな…。』


「再来週には、もう復帰できる予定なんだろ?
それまで、友達との貴重な時間大切にしろよ。」


優しく目を細めて言ってくれた。


『はいっ!!ありがとうございます!』


「それより………、
アレックスって…誰だ?」


今さっきまでの結城先輩の優しい顔から一変して、強張った表情になる。


どうしたんだろ?



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