氷の上のプリンセス
「お前は…、フィギュアスケートやってるのか?」
やっぱり、聞かれた。
あのお姉ちゃんの妹だって言った後に、必ず言われる。
さぞかし、スゴいんだろうと言わんばかりに…。
男の人は、私と1メートルぐらいの近さまで来て、じっと顔をのぞいてくる。
『私は、フィギュアスケーターじゃないんです。お姉ちゃんみたいに才能はないので…。
あっ、でも、マネージャーみたいなことはしていました…。』
私は、少し恥ずかしくなってうつむきながら、説明した。
「…ふっ……。」
ん!!?
顔を上げると、綺麗な顔が、さっきの怖い表情から一変して、穏やかな表情になっているのがわかった。
しかも、笑ってる。
「じゃあ、同じ仲間だな。」
思わず、みとれてしまうぐらい、その笑顔は素敵だった。
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