氷の上のプリンセス

「お前は…、フィギュアスケートやってるのか?」


やっぱり、聞かれた。


あのお姉ちゃんの妹だって言った後に、必ず言われる。


さぞかし、スゴいんだろうと言わんばかりに…。

男の人は、私と1メートルぐらいの近さまで来て、じっと顔をのぞいてくる。


『私は、フィギュアスケーターじゃないんです。お姉ちゃんみたいに才能はないので…。

あっ、でも、マネージャーみたいなことはしていました…。』


私は、少し恥ずかしくなってうつむきながら、説明した。


「…ふっ……。」


ん!!?


顔を上げると、綺麗な顔が、さっきの怖い表情から一変して、穏やかな表情になっているのがわかった。


しかも、笑ってる。


「じゃあ、同じ仲間だな。」


思わず、みとれてしまうぐらい、その笑顔は素敵だった。



< 15 / 161 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop