氷の上のプリンセス

「とにかく、今日は帰れ。練習したいんだ。」


先輩の手には、スケート靴。


全然、気づかなかった!

『ごめんなさい!!
練習の邪魔しちゃってすみません!!帰ります!』

急いでその場を去ろうとしたとき、


「実莉っ!!」


突然、呼ばれた自分の名前。


慌てて振り返る。


「また、今度な。」


先輩が、スケート靴を履きながら言ってくれたその言葉に、胸がかぁ〜とあつくなって、


『はいっ!!!!』


と、リンクに響くぐらい大きな声で返事をしてしまった。


恥ずかしくなって、すぐにその場から逃げるように帰ってくその後ろで、先輩が、クスクスと笑っていることには気づかずに…。


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