氷の上のプリンセス

「それじゃぁ、入部希望者の方、中に入ってくださ〜い!」


15分ぐらい経ったと思う。


先ほどの受付の人が、
大きな声で集合を呼びかけた。


一斉に、入部希望者の塊が動き出す。


あっ、男の子もいたんだぁ。


見ると、女子に紛れて所々、男子が混じっていた。

スケーター希望者っぽいのは、体つきからわかる。


ちらほらいる男子の中で、一番目立っていたのは、脱色した茶髪に黒いメッシュが入っているの男の子。


身長も高く、スラッとしていて顔も整っている。

かっこいいせいか、女の子に囲まれながら、歩いている。


ふざけながらでも、楽しんで左右に女の子の方を組んだりしているから、軽そうな人。


様子を見ていると、その男の子が視線を感じたのかこっちを向いてきたため、パチッと目が合ってしまった。


男の子は、私にニコニコっとしてきたが、両脇にいた女の子たちがこっちを睨んできたので、見なかったふりをして、視線をそらした。


そして、私は何事もなかったように、人の波にのまれて入り口に入っていった。




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