氷の上のプリンセス
『母さん、実莉が大丈夫だっていうんだから、信じてあげなさい。』
最後の荷物を運び入れたお父さんが、お母さんの両肩を後ろからトントンっと軽く叩き、なだめた。
「お父さん、ありがとう。」
『実莉、何かあったらすぐ連絡しなさい。
変な男について行くんじゃないぞ。
お前には、彼氏とかいうのはまだ早いん……』
「はいはい、わかったから……。」
お父さんの言いかけた言葉を私は、遮った。
お父さんも、お母さんに負けないぐらい心配症なんだから……。
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