氷の上のプリンセス
息が早くなり、どんどん苦しそうになっていくお姉ちゃん。
まだ、救急車は来ないの!?
警察官の男の人は、必死で止血をしている。
けれど、出血は止まる気配がない。
時間が経つにつれ、焦点が合わないのかお姉ちゃんの目は遠くを見るようになり、私の顔を見なくなった。
朦朧とし始めているのかもしれない。
「ま…だ…やってな…。
死にたく…ない……ハァ……ハァ。
まだ、や…りたいこ……いっ…ぱ……あるのに…。」
お姉ちゃんの声が小さくなり、呼吸が考えらないぐらいゆっくりになっていく。
「実莉……
ハァ―……ハァ―……、
私と……、一緒に……
滑ろう……―――。」
試合前に、いつも私に言っていたセリフを告げて、
お姉ちゃんは、
息を引き取った………――。
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