氷の上のプリンセス
冷たく言い過ぎたかもしれない。
いや、いつも女にはこんな感じだった気がする。
こいつの涙を見て、どうしたら良いか分からない気持ちと、抱きしめて壊してやりたい気持ちが交差する。
「泣くなよ……。」
涙をすくうと、実莉の瞳が2〜3度まばたきをする。
それがたまらなく愛らしくて、無意識にキスしようとしていた。
唇と唇が合わさる寸前で、自分がしようとしていることに気づき、ハッと我に返る。
きょとんとしている実莉から少し下がり、
冷静さを取り戻す。
「泣かせるつもりはなかった。
だけど、本当に気をつけろよ。
今度は助けてやれないかもしれないからな。」
『はい…。』
素直に返事をする姿に、思わず顔が緩む。
実莉の髪の毛は柔らかくて肌触りがいい。
小さい頭を軽く叩くと、実莉は恥ずかしそうな顔をして、頬が薄赤く色づく。
その顔を見るのが、楽しみになっている自分がいた。
生徒指導室に向かう実莉は、場所を知っているらしいが、図々しくも着いていった。
また、変なのに絡まれるのも心配だった。
笑顔になる実莉は、本当にかわいくて………。
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