氷の上のプリンセス


「なぁ、お前どこ行ってきたんだよ。」


「さぁな。」


「なんだよ、
めずらしくそんな顔してるなんて…。
気になるだろぉ。」


ショウが待つ食堂に行くと、遅かった俺に変なことを聞いてくる。


俺用に、一人分席をとってくれていた。


「田中君の隣座りたい!」

「ねぇ、声かけなよ〜。」


しゃべったこともない女たちが、田中を見ながらコソコソと話している。

その横を通り過ぎ、空いた席に座ると、


「キャー!!結城君!」

「かっこいい!写メ撮りたい!」


うるさい声が聞こえてくる。


いつものことだから、いちいち気にしないで無視をする。


「そんな顔ってどんな顔だよ?」


「直人ぉ、お前がそんな表情柔らかいのなんて、めったにないんだぞ!

何があったんだ!」


スパゲティのトマトソースを唇にたくさんつけながら、
フォークを俺に向けてくる。


お前は小学生かよ。


「なんもねぇよ。早く食え。」


「俺に隠し事なんて、ますます怪しい。」


なんだかめんどくさそうなので、素早く食事を済まそうとした。


それを察したショウは、負けずに素早く食事を終わらせた。



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