氷の上のプリンセス

「じゃあ、よろしくな。」


結城先輩は、あっさりと元きたとおりへもどろうとする。


まただ。


一線をおいたような態度に、ズキズキと胸が痛む。


助けてくれたんじゃなかったんだ…。


普通に話しかけてくれたんじゃなかったんだ…。


『結城先輩っ!』


たまらず呼んでしまった。


すると、先輩は振り返らずに


「この間言っただろ。自分でどうにかしろ。」


普通は、冷たい言葉に感じるかもしれない。


でも、私にはそれほど冷たい言葉じゃなかった。


それは、大人が子供に新しいことをさせる時、無理に手を出さず、頑張れって言ってるような言い方だった。


今まで、避けられたように話も出来なかったかもしれない。

嬉しかったのは嘘じゃない。


もっとそばにいて別の言葉をほしい気持ちが交錯してる。


こんなこと思うのは、贅沢なのかな…。





< 96 / 161 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop