うちゅうじん。[隊長………もんじゃのだし]






南紀白浜についた時、ミツバチ達からスパオオについて尋ねた時、かなり詳しい説明があった。


沖縄から始まったスパオオの侵攻。

スパオオ対策に光明をもたらしたミツバチと、その息子達の活躍があって、スパオオに対して優勢になったことも。




「僕等の方が、明らかに強いはずだった。しかし、小さなミツバチに押されていた。僕は、もちろん僕の親もそれを危惧していたみたいだったが、ミツバチ達を奴隷にすることが容易でなくなったのだ。」



「そうだよね。確かに君達にとっては、当たり前に出来ていたことが、そうじゃなくなった。そりゃあ悩むよね。」


「はい。もちろんそれは僕等にとって大切なことですから。
でも隊長さん、聞いてください。
それと同時に、一つの疑問が僕の中で生まれたんです。
それがさっき隊長さんが言われた、自分達の生きる意味ということです。」


「俺がいうのもおかしなものだが、本能的に生きてきたスパオオが、ものを考えるようになったということだな。」


「そうなんでしょうか。自分達の昆虫社会でのポジションって、なんなのかって。
自分達が繁栄出来ればいいというスパオオの本能的なもの、もちろんスパオオの社会でボスになったのは、僕の意志ですし僕等の繁栄を望んでのことですけど。
でも、なんとなく引っかかっていて。
しかし、今回の明らかな敗戦は僕等に新たな方向性を示唆してくれているんじゃないか?と。
突っ走っているだけじゃダメなんじゃないか?と。」


「うん。反省というか、自分達のしてきたことを振り返ってみたわけだ。」


「はい、このところ考える時もあったんですけど、隊長さんが現れて、そしてさっきの質問。


でも、突っ走ってきた僕等には、昆虫社会に馴染む術がわからない。
強いものは敵で、弱いものは奴隷だったりしたから、昆虫社会では嫌われ者だと思うし。」


「うん、そこでなんだが話というのは他でもない、君達の食糧問題なんだ。
もともとスズメバチは雑食性で食虫にはこだわらなかったはずだ。
いつ、なぜそうなったんだろう?」


「僕の生まれる前に、自分達の強さをアピールするために始めたのが、いつの間にか定着してしまったらしいんです。」


「わかった。じゃミツバチのローヤルゼリーが必要な理由は?」











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