うちゅうじん。[隊長………もんじゃのだし]
夕方になって、南紀白浜では社員達の報告会が行われている。
各地での作戦行動の結果報告である。
高知を除いて、ミツバチ達の犠牲者も少なく、良い結果に終わった。
高知については、予想通りに血気盛んなミツバチが多く、不必要な犠牲者を出してしまったが、地元のミツバチ達はそれが高知の誇りだということで、問題になっていない。
さらにその後、阿蘇のふもとから、一足早く帰ったパシり隊からも、スパオオと隊長の様子を伝える報告が行われた。
隊長とスパオオのボス ジェネシスの話し合いが、無事に終わったこと。
こちらの要求通りに、各地のミツバチ達を解放すること。
スパオオ社会では食虫を原則として禁止すること。
これらを守り、これから日本の昆虫社会で生きていくこと。
それから隊長は、ジェネシスを連れて話し合いのために、後日帰ってくること。
ミツバチとスパオオの緊張状態の収束を宣言して、ミツバチ達が早く日常生活に戻って欲しいということ。
隊長の言葉として、パシり1号が代表して宣言すると、会場となった巣箱の上は大きな拍手で包まれた。
人間の耳には入らないものだが。
こうして、歓喜の中、南紀白浜の夜は更けていったのである。