【完】絶対引力
涼と優‐SIDE Ryou‐
―SIDE 涼―
「何で引き止めなかったの?」
優にそう聞かれた。
きっと、いつものあたしだったら引き止める。
でも小夜のあの後姿を見たら引き止めるなんて、そんなこと出来なかった。
「あのさ、小夜って伊織とどんな関係なわけ?」
「小夜は…会いに来たの。東京から池上に。詳しくは知らない…。でも、池上と小夜は小さい頃仲良かったんだって。で、今でも好きだから来たの…。」
簡潔に話した。
話してるのは小夜のことなのに。
あたしは小夜の気持ち分からないのに。
無性に悲しくなった。