【完】絶対引力
小夜の手料理
「よしっじゃあ、帰ろっか。お母さん小夜と話したがってたし。」
んん~、と背伸びをして歩き出す。
正直伊織と話したなんて実感が湧かない。
6年ぶりの伊織の声。
あの頃は携帯なんて持ってなかったから連絡も取れなかった。
今はただ、ドキドキしてる。
胸の高鳴りが止まらない。
「伊織どうすんの?」
「着くの夜だし明日会えばいいじゃん。ね、小夜。」
「あ、うん。ところで、涼。夕食私が作ってもいいかな?お世話になるわけだからそれくらいしたいの。」
ただで泊まる訳にはいかない。
泊めさせてもらうんだから、それなりに何かしなくちゃ。
「うんっ、きっとお母さんも喜ぶよ。」
快く承諾してくれた。
「あ、優も来れば?小夜の手料理食べたくない?」
歩きながら横目で優を見る涼。
私の手料理なんて大したことないのに…。