【完】絶対引力
またもや伊織からで。
涼と優にまで迷惑かけちゃったな…。
どうしよう…。
心配してるよね…。
伊織の名前を見て、そんなことが頭を掠める。
出ようかな…。
出たほうがいいかな…?
「もしもし…?」
「どこにも行くなって言ったじゃん。」
少し息切れしている伊織。
少し怒っている。
「ごめん。」
「どこ、いるの?」
怒っていたのに、素直に謝った私にはぁ、と息を吐いて優しく言った。
「涼と優にもごめんって言っておいて…。」
「わかったから、どこいるんだって。」
「それは言いたくない。」
私は俯く。
目を閉じると感覚が研ぎ澄まされて、いつもよりに暑いと感じる。
実際はいつもと変わらないんだけど…。
ジリジリと肌が焼ける。
伊織の返事を待つがいつまでも返事は返ってこない。