ロデオ･カルテット─ｼｰﾙﾄﾞﾛｯｸ─鳥籠編

３話/鳥籠の中

　彼は、政府から言われたままにDMを破壊しながら先に進む。

　クルルと名乗った青年が、そんな彼を止めようと叫び散らすがその思いは届くことが無かった。

　彼は、無言で立ち向かってくるモノの骨格を外し、地面に叩き付け、殴り込み、蹴り飛ばし、丁寧にその動きを封じては、確実に歩みを進める。

　だが、DMの再生能力が倒した側から、攻撃を仕掛けて行く。それでも、彼は動きを止めなかった。それどころか、再生したDMを更に解体しようとする。その様子をクルルはもう見ていられる状態では無かった。

　ある種の殺戮現場に居合わせているのである。

　普通の神経では居られない。

「止めてくれっ」

　クルルは声を荒げて、立ち尽くした。それを狙い、回復しながらDMが殴り込んでくる。

　無論、避けられる速度ではない。

　だが、クルルの身体に拳が練り込む前に、彼が跳び蹴りを食らわせそれを遠くへ吹き飛ばす。

　彼はそのまま、次のDMへ回し蹴りを当て、踵落としを決め、裏拳を顔面に当てる。それだけの激しい動きをしながらも、彼の息は乱れることはなかった。

　クルルは、泣きそうになりながら、彼が話してくれたことを頭の中で繰り返した。
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表紙・目次

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