ロデオ･カルテット─ｼｰﾙﾄﾞﾛｯｸ─鳥籠編

「どういうことか、わからないかい。
　それならそれでも良いよ。
　私にはどちらにしても好都合だ」

　スピカを見下ろしたまま、冷たい口調で返すブギルにスピカは立ち上がる。

「ブギルさん、貴方はまた掛け持ちで仕事をしてるんですか」

「そうだけど、副隊長君にそれを制する権利はないだろう。
　此方は純粋に路銀を稼いでるだけなんだからね」

　反論に、笑みを浮かべるとわざとらしく肩を竦めてみせる。その対応が、流石のスピカにも癪に触った。

「僕も隊長を追います」

　端的に返して、牢屋の壁を貫通させようと掌を当てる。

「立派な腕輪がついてるのに、無理はしないほうが良いと思うけれどね」

　そんな、スピカの片腕に種拘束具と呼ばれる種封じの腕輪が巻き付いていることをブギルは指摘する。

「無理やり、発動させることはできますよ。
　片腕だけですし、確かに威力は落ちますが」

「勝手にするといい、私の仕事は見張りだけだ。
捕虜や人質が逃げても通達はしない。
　見張りは、見ているだけが仕事だからね」

　スピカが逃げられないとでも思っているのか、無理やりな理屈を口にしてスピカの行動を見守る。