ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
 クルルの呼びかけに彼は疲れたように頷いた。

「隊長、血、どうしたんですか」

「政府の奴らに頼まれたんだよ。
 DM壊せってな」

 スピカがとっさに視線を逸らす。彼の肩越しに映る映像には、壊れ掛けたDMが再生する姿が映し出されていたのだ。

「材料は人間ですからね、神なら殺しても罪にはならないと言ったところでしょうか」

 ヴォルラスが、睡眠薬の効果からくる頭のぼやけ具合に、顔を歪めながら言う。

「うるさい、どうでもいい。
 此処から出るぞ」
 彼はうんざりとした面もちで答えて、辺りを見渡した。

 スピカの手が彼のコートを掴む。

「PCハピネスに挿入してあるディスクに、どうやらDMを制御するデータ信号が入っているみたいなんです。
 触ってみても良いですか」

「そうなのか、誰に聞いたんだ」

「いえ、今まで居たんですよ。
 ブギルさんとアリトさんの二人が」

 スピカが言えば直ぐに、彼は立ち上がった。

「奴らはどこだ」

「天井から逃げました、人質付きで」

 スピカはそう答えて、先程までの彼らのやり取りを話て聞かせた。

「母さんが、此処にいたのかよ」

 
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