ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
 スピカが人質の名前を口にした時、クルルの表情が変わった。

 言葉を聞いたスピカとヴォルラスも、いたたまれない顔でクルルに目線を向けたが、彼だけは天井を見つめ悪党二人を追おうかどうか考えていた。

「なんで、ブギルに連れてかれたんだ」

 クルルがスピカに食いついた。

「DMを止めるパスワードを知っているとかいないとか、ただ、ディスクを捨てたところを見ると、他にDMを操る方法を見つけたのではないかと考えます」

「なんで、なんで、止めてくれなかったんだよ」

 スピカに掴み掛かり問い質す。

「ごめんなさい。
 僕、その」

 言い訳も出来ずに俯くスピカは恨めしそうに腕輪を見つめた。

 種を制御するための印字が描かれた腕輪には、鍵が掛かっており、自分では取り外すことができない。

 また、ヴォルラスにも種術の抗体を下げる道具が付いており、二人で身動きができずにいた。

 謝るだけのスピカから離れたクルルは、以前上を見上げる彼に振り向いた。

「詐欺師はどこへ向かったんだ」

 クルルには何も言わずに、彼の口が開く。

「多分、隊長さんから離れてDMのデータを再度採取できる場所かと」
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