ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
 ヴォルラスがスピカの変わりに予想したことを言った。ただ、それがどこかと聞かれると返答に困ったようで、眼を逸らした。

「わかった」

 彼はそれだけ言うと、足掛かりになりそうな椅子を踏みつけて、そのまま開いた通気口に飛びつくと、暗い穴の中へと姿を消した。

「隊長、せめて鍵くらい探してください」

 スピカは呼び止めたが、彼はまったく聞いていない。

 彼の姿が消えてから、しばらく沈黙した三人は、DMの気配に悪寒を感じた。

「兎に角、此処を離れましょうか」

 ヴォルラスが立ち上がる。

「そうですね、あの二人も運ばないと」

「運ぶって、工場はDMだらけだぞ」

 ヴォルラスとスピカに危険を知らせるようにクルルが言った。

「ヴォルラスさん、僕、少しデータ解析をしてみます。
 クルルさんとあの二人を連れて、逃げてください」

 ヴォルラスは即座に首を振る。

「それはできませんね。
 彼らがデータを捨てたということは、なんらかの危険があると判断します。
 政府軍を率いれた後にでも十分処理は可能です。
 今は、安全確保が先です」

 ヴォルラスの言うことはスピカにも良く理解できた。

 
< 122 / 142 >

この作品をシェア

pagetop