ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
 続いてスピカが深々と頷いた。

「クルルさん。
 見てわかりますか」

 ヴォルラスがクルルに問い掛けると、やはり一度訪れたことがあるだけに、直ぐに二人を部屋の外へと手招いた。

 ところが、ギバルがそれに介入したのである。

 拘束具をしっかりと備えられたにも関わらず、薬の勢いが収まらないのか、目を光らせてヴォルラスとスピカに襲いかかったのである。

「スピカさんっ、ペシェさんっ、先に行って下さい」

 ヴォルラスが珍しいほど鋭い口調で、ギバルの前に立ちはだかった。

「政府の軍師、長官を頼む」

 それをすり抜けて、ペシェはヴォルラスに言い放ちたじろぐスピカとクルルを引っ張って走り出した。

「ちょっと、待って下さいっ。
 ヴォルラスさん、ヴォルラスさんっ……っ」

 スピカは叫んだが、大音響にかき消された。

 工場は、殺戮の監獄に姿を変えていたのである。
< 124 / 142 >

この作品をシェア

pagetop