ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編

4話/完成品

 材料が逃げ出した。

 わたしに、失敗はあってはならない。

 わたしは、完成品なのだ。

 お母さんの命令は絶対だ。

 材料を連れ戻さないと。

 いきなり、壁が破裂する現象には、スピカもペシェも慣れたもので、取り乱すことは無かったが、そこから沸いて出たDMと、ラミアの姿に身構えた。

「お母さんが待っているの」
 
「ラミア、俺がわかるか」 

 ラミアの声に、クルルが聞いた。

 ラミアには反応が無い。

 それどころか、弾かれたようにペシェとスピカに突っ込んできた。

 鍵詞が発動するもラミアにはなんの効果も与えられない。

 スピカとペシェの利き腕には、がっちりと腕輪が巻き付いていた。

「クルルさん、鍵を探して下さい」

 風圧に吹き飛ばされたスピカは、壁に背中を打ち付けたようで、声を出すのも一苦労だった。

 ラミアは無言のまま、スピカの声に顔を向ける。

「ブレイクアウト」

 ペシェが続けざまに発動させた種術も、ラミアの肩肉を抉る程度である。

 その抉られた部分も、瞬時に回復再生が始まり、攻撃を受けた当人は口元に不気味な笑みを浮かべるだけだった。

 危険な遊び。
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