ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
 セスナに加えられたまま、暴れるクルルを痛ましげに見つめていたペシェだったが、DMだらけの地上に再び降りるのは危険だと今更ながらに感じた。

 その実験を託された時にも、些かの不祥事が不安だったが、PCハピネスのシュミレーションでその確率は少数値であった。それだけに、今回の事態予測と原因にペシェはただならぬ疑問を浮かべるしか無かった。

 DMの母親はリンメイなのだ。

 少なくとも、リンメイがペシェの所属する隊でDMに関する全てを任された責任者であることに代わりはない。

(ハピネスが母親とは、一体)

 ラミアの言葉を考えようとするペシェを余所に、スピカから伝言を受けた少女はセスナを政府領域へ飛ばそうとしていた。

 ところが、その時、クルルが上着を抜ぎ捨てて地上に落ちた。

 少女が慌てるように回収に向かうがDMの群の方が遙かに早い速度で、クルルを連れ去ってしまう。

 ペシェは戸惑う少女に、政府の元へ飛ぶようにと告げ、どこからか神官IDである十字架を渡し、地上へと降りた。

 驚いた少女が下を見る。

 下はDMで埋まっているという表現が正しかった。

 セスナで蹴り散らすにも知り合いが居ては躊躇うだけだ。
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