ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
 言うなりアリトは銀雨を放ち、壁に大穴を開けさせた。

「お待ちなさい、このさなかにどこへ逃げる」

 それにあからさまに驚愕の声を上げたリンメイに、ラミアがしがみついた。

「離せっ……この、化け物っ……ひあっ……」

 叫んだリンメイの肩が外れた。

 痛みに絶句するリンメイの腹に蹴りが入る。その拍子に、気絶も絶命もできずに床に転がり、誰かの足下で身体が止まる。

 薄れる瞳に、神と言われた青年の冷たい色が降り注ぐ。

「どっちが悪いかわからないな」

 リンメイは無意識に助けを求めていたが、彼から落ちた言葉は素っ気ない疑問だった。

 痛みに悶絶しているリンメイを軽く蹴りつけた彼は、向かい来るラミアを投げ捨てた。

「だめ、隊長、彼女もその人も、傷つけないでください」

 むせながら、床に両手をついて起き上がり、スピカが叫んだ。

「周り止まらないだろ、小娘殺さないと」

 返された彼にラミアが拳を振るう。

 彼はその腕をつかみ投げつけて、スピカの元へと駆け出した。

「話は聞いてたんだ、それしか方法が無いらしい」

 やっと息をするスピカの前に立ち、ぽつりと言う。
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